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1986年1月 王ケ頭

とき:1986年1月15日

 

ところ:王ケ頭

 

所在地:長野県

標高:2034メートル

メモ:
以前から冬の美ヶ原に行ってみたかった。
写真でしか見たことのない雪原を歩いてみたかった。
新宿からお決まりの中央本線夜行普通電車で松本。
115系のブルーとアイボリーの電車。 115系の電車は 横須賀線と似た色でした。
が、よく観ると
微妙に違います。
中央線は断面の高さの低いトンネルがあるので、パンタグラフの取り付け位置の屋根が下がっていると聴いたことがあります。
記録には 「眠れなかった」とは書いてない。
どうにか 眠れたんだろう。

前回の反省を生かし?今回はカンジキを持参する。足元もゴローのエイティーン(今はS18という商品名のようです)で決まり。
たしか店頭にあった15000円?だかのサイズ限定一足限りというのを買ったと記憶。
(あろうことか、これを2005年に捨てちゃったんですね・・もったいない、皮も底も問題なかったのに。 ちなみに悔しいので2009年に、巣鴨のお店にいって同じ靴を買いなおしました。それきりつかってないんですがね。)
バスを下り、石切場(標高1370m)から登山道に入る。(これは2006年夏の写真)

期待通り? 三城からの登山道は40cmくらいの積雪。

踏み跡がしっかりあり、気温も低い(氷点下)ので雪もかなり締まっておりツボ足でも歩きやすい。

天候は快晴。 気分もよろしい。王ケ鼻長助分岐を左。

「美岳荘」の南側軒先のツララは巨大。(こんなのが上から落ちてきたらイヤだね・・)

雪で下草も隠れてしまい、見晴らしはすこぶるよろしい。
夾雑物のない景色を見るなら冬の山だ。

「二人の小道」への分岐(1900mくらい?)で四人のパーティを抜く。
ラッセルは彼らのものだった。

「こんちは!」

私  :          「どちらまで?」
パーティのリーダー   「今日はね、山の上でクロカンやろうと思って。」
私:            「いいなぁー! で、クロカンの板はどうするんですか。」
リーダー:         「それがね、山小屋で貸してくれるんですよ」

へぇ、そんなサービスがあるんだ・・

「二人の小道」は、「溶岩台地の急崖を横切る」「小さいがピリリと辛味の利いたプロムナード」(山と渓谷 「アルペンガイド12 美ヶ原・霧が峰」P44)と形容されている。

王が鼻は岩山(北杜男 「どくとるマンボウ青春記」 (新潮文庫)にもこの山に関する記述がある。)

ごつごつした岩山の頂きから少し下った岩の崖をトラバース・・・  ヨコに水平に抜ける・・ 小道。

記憶が定かでないが、二人の・・なんていうほどロマンティックじゃなかったような? 小道・・が終わると、三城からの登山道に合流する。
9合目といった風情、あと一息で登りはおしまい。

登りきれば、 「不意に開けた眼前の風景にしばらく世界の天井が抜けたかと思う」(「美ヶ原熔岩台地・高原詩抄」 尾崎喜八) 

この躍動感。何度来ても、この感じが良いですね。      

「王が頭」(オウガトウと読みます)は、登頂することにさほど感動はない。
すくなくとも5合目から延々と火山灰を踏みしめて登る富士山のような登頂の感動はない。

美ヶ原は、お手軽な山だ。 天狗の露地や、高原美術館まではクルマで上がれて、駐車場からはちょっとした上りがあるが、記憶が正しければ、高原美術館から「台上」へは砂利が敷いてあるほぼ平坦なコース。
夏ならば、お嬢様がサマードレスに街を歩く靴でお散歩できそうな感じである。

( これは秋の風景、こんな路面です。)

夏に放牧され高原の風物詩となっている牛たち。
秋には、その牛も里の牧場に下り、観光客も遠のき、高原には再び静けさが戻ってきます。
そして雪。長野県中部(中信地方)は雪国のようには雪が降りません。
しかしひとたび降ればそれなりに積もり、気温の低さとあいまって根雪になります。

台上は雪がふかふか。
登山靴に輪カンジキを装着。
広々した雪原の歩行を楽しむ。

「王が頭」高原荘ヨコのベンチで大休止。

湯を沸かし、持参したフリーズドライの雑炊で昼食。
台上は風もなく穏やかです。

溶岩台地でクロスカントリースキーを楽しむ人々。

・・・景色がよくて、ノンビリしすぎた。
三城から駅に戻る最終バスの時刻が・・迫ってます(またか?)

急いで「塩くれ場」から「百曲がり」を駆け下る。
こっちもそれなりにキツイ勾配、 かつ狭い登山道。

しかしそんな道に、なぜかスキー のシュプールというか、跡がついている。
ステップターンの跡から推測すると、下ったのではなく、登ってきたように見える。
こんな登山道を登ってこれる板があるのか?

東京に戻り上野の登山用品店のオヤジさんに聴いたら、たぶんそれは山スキー、もしくはテレマークの板(注)だろうと教えてくれた。
シールをつければ登りにも使えるよと。
へぇ、スキーってゲレンデで女はべらせて遊んでる(もしくはSLやDHなどの競技スキー)だけじゃないんだ・・。

ということで、この雪上散歩は、私が(山)スキーの世界に興味を持つきっかけともなったのでした。

(注)クロスカントリーと同じく、カカトが上がる板/金具だが、エッジを装備しており、アルペンスキーのようにターンしながら山を下れる。 

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