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第3回 松本マラソン

  「秋の松本を舞台とする”第三回松本マラソン”(実行委員会と長野県陸上競技協会主催、松本市と信濃毎日新聞社共催)が6日、松本市総合体育館前から信州スカイパーク陸上競技場までの42.195kmで行われた。細かい雨が降ったり、日差しが降り注いだりする天気の下、国内外から参加した7134人が市街地や田園のコースを駆け抜けた」(信濃毎日新聞 2019年10月7日朝刊9版 一面より)

  

 大会前日2020年10月5日、レースが開催される松本市に13時過ぎに到着します。上信越道・東部湯の丸ICから国道254号線三才山トンネルを越え、浅間温泉を経由。自宅からは4時間ほどのドライブ。浅間温泉では、地元の銀行ATMに寄ります(笑)。

 到着後、宿に荷物を置き、5kmほど走ります。30分くらいの間に汗だくになりました。

「松本(長野県)の実況天気(2019年10月05日)」 リンク先: 日本気象協会  サイトhttps://tenki.jp/past/2019/10/05/weather/3/23/47618/ によると 
朝までの最低気温 14.6℃ 夕方までの最高気温 25.1℃です。


 これだけ気温が高いと、試合はきつそう。松本市は内陸で東京ほど空気はベタつかないですが、気温が高かった印象。地球温暖化の影響でしょうか?ランニングのザックに入れた1リットルのスポーツドリンクを30分で軽く飲み干しました。

  

 で、5日は23時ころ就寝。翌朝4時ころ起床、5:30ころ指定の駐車場。会場まで10分ほど徒歩。天気は曇り。ゼッケン、計測チップなどはすでに装着ずみ。5:45に会場に着き、着替え場所に行ってもヒマです(笑)。すでに着替えて、上に羽織るものを羽織っているだけですから、着替えは5分でOK。スタートまで2時間半くらいあり、読書でもしますか(笑)。「移民とAIは日本を変えるか」(この本2020年11月1日現在、積ん読中・・笑)

 

 

 午前7時くらいに体育館から外にでて、会場の様子を見ます。だんだん選手が集まり始めます。7時を過ぎると案内放送が開始。午前7時40分にはスタート地点での整列が開始。遅く並んでも良いことはなく、荷物を預けてスタートラインには時間通りに並びましょう。 預け荷物にはゴールしてからの補給食や防寒具。

 (スタート地点 松本市総合体育館)

 私はEブロック先頭付近からのスタート。事前に申告した自己ベスト、すなわち前年「つくば」の4時間11分に相当するカテゴリーわけです。最初のスタートがAブロック、そこからB、C、Dまでが縦一列に並びます。そこから中央分離帯を挟み(列を改めて・・)、Eブロック以降が並びます。

 

 私は、スタートのピストルが鳴ってから前の4つのグループを先に通してから、ようやく走りはじめとなります。前々回の実績では8分くらいはスタートでロスがありました。7000人規模の大会ですからやむを得ない。真剣勝負で走るならAブロックからスタートしないとですよね。

 

 なにせスタートの50分前にスタートに並ぶので、ここでもヒマです(笑)。そうこれはお祭りです。そうです。スタート地点に屋台こそないけど、お祭りです(笑)。

 お祭りの雰囲気を楽しみましょう。せっかく週末に長野県の松本まで来ているのです。楽しみましょう。大会の雰囲気を楽しもうという気持ちが大事。マラソンを走りながら、楽しむ。そして結果がよければなお良い。スタート地点ではそんな心境でした。

 

 来賓あいさつ。長野県陸上競技協会の会長、菅谷(すげのや)松本市長、小坂・信濃毎日新聞社長。いずれも緊張されているのか、すこしスピーチが引っ掛かっておりますが、そこはお愛嬌。少し雨が降ってきました。試合中は小雨だといいですが・・。会場内の放送はスリップ注意を呼びかけています。

 (スタート地点の松本市総合体育館前)

 

 そして8時30分。定刻にピストル。Aグループからゆるゆるスタート。Aグループには招待選手のようなエリート、ほかにも香港のTシャツを着た選手。「加油!」(ジャーヨウ!中国語で「頑張れ!」の意)と応援したかったですが、距離が離れていて届かないか(笑)。もしかすると海外からの参加者は前回第三回大会の中止(台風による)で減ったかもですが、それでもスタート会場では海外選手受付に並ぶ人が少なからずいました。

 

 スタートの待ちの最中に雨が強くなってきます。Bグループ、Cグループ、Dグループと数分間隔で走り始める。しまった。手元のストップウオッチを押し忘れた。しかしどのみちスタートからの経過時間を気にしながら走ることはしません。あくまでその時々の自分自身の感覚を大事にします。自己記録はさておいて、やることはやりました。あとは運を天に任せて走るのみです。 

 

 なんていってるそばから、あきらかなペースオーバーです。スタートのピストル音から6分ほど経過してEブロックがスタート。ゆるゆる走り始めます。スタートしてしばらくは下り。一部コースが狭いところがあります。そこをぬけると集団のペースがあがって本格的なレースのスタートなのですが、手元GPSをみるとキロ4分50秒くらい。事前設定は5分50秒。グロス(スタートでの待ち時間を加味)で4時間20分。これは明らかにオーバーペース!、よろしくありません。 ペースを落とさないと。何段階かギアを落としてキロ5分45秒まで下げます。手元を見ると5分35秒。それでもかなり抑えている感覚です。ランナーズ・ハイではなく、レーシング・ハイです(笑)。

 


松本城。南側から濠ごしに撮影しています。撮影日不明です。

 
 しばらく様子をみつつ走ってみて、5分35秒でいけると判断。コースの途中にチチローさん(タレント)がいます。スタートから2.5km。城東、つまり松本城の東のあたり。雨の中、足元の水たまりをよけながら天守閣を横目で見つつ先へ。スマホで写真を撮りながら進む人もいます。このあたりは松本の中心市街です。千歳橋(せんさいばし)、信濃毎日新聞社の松本本社・メディアガーデン、開運堂(菓子店)パルコがあります。松本市中央二丁目あたりです。 


 ドラマ「白線流し」(フジテレビジョン・1996年)第5話から拝借します。千歳橋(せんさいばし)付近。1995年ころでしょう。松本北高校(ドラマ内の仮想の学校)の学生である主人公がクラスメイトとともに、学園祭の資金集めのために、OBのところを回っているシーン。 ツタヤ(衣料品店)が画面右側、左側に石井スポーツ(登山用品店)の店舗が見えます。2020年10月現在、いずれも同じ位置にはありません。

  思い思いのランニングウエアに身を包んで走るランナーたち。私は今年の大会Tシャツ、緑色を着用。それにしても昨年大会で配られた青いTシャツを着ている選手の多いこと。そうです。幻の第二回大会のロゴが入った幻のTシャツです(笑)。私も前年「つくば」でこの2018年第二回松本マラソンのTシャツを着て走り、試合の途中で他の選手に話しかけられましたっけ。

「あれ、松本マラソン行かれたんですか?」

「はい。あいにくの台風でしたねぇ・・」

なんて話題づくりに貢献です(笑)。

 

・・とはいえ、実際の大会で走りながら、一緒に走ってくれる仲間(バディ)を見つけるのはおそらく不可能です。この日もずっと一人旅。観察していると事前に打ち合わせたであろう知人同士が走りながら談笑しているパターンはよく見ます。基本的にマラソンは有酸素運動ですから、走りながらおしゃべりできます。

 

 ・・で、再びコースの描写に戻ります。松本城を過ぎ、ひたすら南下してきたコースは3km付近で薄川(すすきがわ)の川沿いに出ます。左折して川沿いを少し東に進み、右折して再び南に向かいます。

 この日、第一回大会の時に作成した走り方のメモを今回も参照しました。6km地点付近で田川沿いに出ますが、このあたりはコース幅が著しく狭くなります。他方、スタートから6km走ったくらいでは、ランナーがバラけず、大きな集団のままボトルネックに突入します。そのため、ときおり徒歩のスピード(キロ10分くらい)まで速度が落ちますが、焦っても仕方がありません。集団の流れに身を任せます。7000人の大きな大会なのでやむを得ません。

 (大会の参加記念Tシャツと封筒)

 

 コース高低差の図をみますと、このあたり、つまり深志や薄川あたりから、15km地点の塩尻市広丘のあたりまではずっと上りです。上りだとスピードが落ちるわけですが、レース前半、大会の雰囲気にのまれた異常なテンション高さを保った状態で走るので、上りのきつさを忘れてついつい飛ばしがち。

 

 今思い返すと、この大会も前半イベント独特のハイテンションでオーバーペース、そのつけが後半にまわってくることになります。

 

 さて、コースは松本市南部、寿の丘に向かっての上りに入ります。けっこう汗をかいています。給水はすべてとる作戦。それにつけても想定外なのは暑さ。日よけ(紫外線)と雨よけの意味でキャップをかぶっていたのですが、キャップの中が蒸れて暑い。ときおり外して手に持って走ります。

 

 コースは塩尻市に入り、15kmあたりでいったん折り返し。このあたりでようやく集団がばらけ走りやすくなります。しかし前半の飛ばしすぎが今ごろになって効いてきました。ペースダウンを余儀なくされます。給水をとり、自分で持参したゼリー状の栄養ドリンクを口に押し込んで前へ。ちょうどコースが長野自動車道の側道を走るあたりです。

 当日の信濃毎日新聞、号外より 拝借します。

 雨が上がりさらに気温があがってきます。給水所で配っている水を含んだスポンジを取って水を身体に掛ける選手もいます。北向きの風でしょうか。風が出てきて帽子が飛ばされそうになったりします。

 

 そして「えびの子大橋」(塩尻市広丘)でJR篠ノ井線を越え、奈良井川の川沿いに出ます。19.4km地点、長者原の給水所でトイレ休憩。こちらのトイレは待ち時間ゼロに見えたのでとっさの判断で飛び込みます。トイレの待ち時間も記録に加算されますので、空いているトイレを探すのもタイム短縮のためには大事な戦術です。

 

 

 当日の気象条件。(データは日本気象協会より)

 奈良井川を越え、再び塩尻市から松本市に入るあたりで給水。地元産のブドウを配っています。走りながら受領し口に押し込みます。信州らしくてよろしい。  そして松本空港南東側の上り坂を迎えます。ここはコースガイド(ベースボールマガジン社 クリール2018年11月号 p.72)をみると短い距離で標高差50m近い上り。コース上の二つ目の難所でしょう。一つ目は寿に向かって上がっていくゆるい上り、そして二つ目がこの空港南東側の急激な上り、三つ目が30㎞すぎての折り返しの多いコース設定・・とみていました。


 (ゴールの信州スカイパーク陸上競技場)

なお2020年以降はコースが変更になり、折り返しが減ったようです。

  

 この空港南東側の上りでペースダウンを強いられますが、どうにか坂を上り切ります。前回の自分でつけた記録を読むと、風の向きで減速・・のように読めますが、標高が50mも上っているのですから、勾配が要因でのペースダウンに相違ありません。運動負荷があがり、またかなりの量の汗をかきます。腰のポケットに持参した塩分タブレットを口に押し込みます。

  


(ゴール付近。黒いシャツを着たボランティアの方が、完走賞のメダルをかけてくれます。タオル、オニギリ、スポーツドリンクも配られます。第一回大会は中国語を話すランナーが集まって写真を撮っていました。) 

 坂を上りきるとコースは空港周辺の緑地公園に入ります。信州まつもと空港の周囲は広大な公園緑地となっています。沿道でアルプホルンの演奏が聞こえます。
  

 10月の秋の日差しに芝生のみどりがまぶしい。走りながらサングラスをつけたりはずしたり。コースは公園から再び公道に出て、県道48号へ。長野県道48号松本環状高家線(まつもと かんじょう たきべせん)です。高家(たきべ)は豊科のちかくの地名。道幅が広く、対向車線は向こうから折り返してくるランナーたち。このあたりからコースに折り返しが何箇所か設定されています。

  

 30km地点。右手に見えるは、アルウィン、サッカーJ2(2020年現在)松本山雅(まつもと・やまが)の本拠地です。車道のかなたに山雅の応援団が大きな旗が振るのをみます。松本にサッカーJ1チーム(2019年シーズン)など考えもしなかったです。
 

 ここから少し進んで、コースは町神の交差点から県道296号松本空港線に入り、二子橋の手前で折り返します。沿道は田んぼと住宅地です。応援の列が絶えません。コースは長野自動車道の高架をくぐり、神林のバス停をすぎると二子です。王子製紙工場の近く、二子橋の手前で折り返し、32.6km地点。フトモモが痛いです。前半飛ばしすぎのつけがさらに・・。ゴールまであと10kmありますよ(苦笑)。この年の夏、試合前練習(ロング走)では最長が25km走でした。猛暑で長い練習が思ったようにできなかったのです。フルの前に30Km 走は何本かやっておきたいものです。

 
 フトモモが痛いのと、天気がよくなって暑いのと、二重苦です(笑)。前年のつくばマラソンも同じような状況でした。痛みがあっても残り10㎞くらいの距離であれば、若干のペースダウンをしつつ破綻させずにレースを締めくくる。それもマラソン完走のための戦術でしょう。

 

 コースは県道の上りと下りで折り返すランナーを分けて通しているのですが、折り返しの往路で見るランナー(自分より速い)と、復路で見るランナー(自分より遅い)の違いが面白い。人間観察をしながら気分転換します。塩タブレットを再びショーツから取り出して口に放り込みます。給水は全部とっていますが、ノドが渇きます。

 

 そして再び町神交差点(アルウィン近く)まで戻ってきました。左手に折り返し前に見た松本山雅の応援団。スタートから35km。コースは南荒井西の交差点を左折。西南団地のほうに向かいます。空港近くの工業団地です。

 それにしても、ペースが上がりません。脚が痛いのですから当たり前で、冷静に考えれば現状キープか、ややペースダウンしかないのですが、脳中のリミッターが外れて加速せよと言っています(笑)。心身とも非常にきついですが、ゴールまであと10kmを切っていますからどうにかゴールまで引っ張ろう。

 

 37.3kmの折り返し。2年前の大会ではこの付近からペースを上げる余裕がありました。それは前半ペースを抑えていたから可能でした。今年はそんな余裕が全くありません。  

大会公式サイト https://www.matsumoto-marathon.jp/ より拝借。

 上の写真の笑顔のランナーをご覧ください。同じ地点を走る私の表情におそらく笑顔はなかったはずです。たぶんあちこちの痛みで表情が引きつっています。
 

 スタートから39.4km。ふたたび長野県道48号松本環状高家線に戻ります。山雅応援団を見るのは3回目。打ち鳴らされる太鼓の重低音が腹に響きます。
 
 長旅も残り3km。再びコースが交互通行になり走路が狭くなります。ランナーが錯綜する中で前のランナーとぶつかりそうになりますがどうにか回避。
 
 あと1km。ゴールの競技場がみえます。外周を時計周りにまわって競技場に入ります。トラックを4分の3周しゴール。記録を示すデジタル時計が4時間5分をさしています。あれ、自己記録更新ですか。お疲れさまでした。

(まとめ)
試合の走りを総括するため、5kmごとのラップを示します。

 グロスタイムとネットタイムの差、つまりスタートから自分がスタートラインを切るまでが6分1秒。その後、35から40km区間とラストは上げ下げがありますが、ほかは5kmのラップタイムがおおよそ28分台におさまっており、前半・後半ともイーブンペースで走り切れたとも言えます。実際には30㎞以降、前半のハイペースがたたってかなり苦しい展開となり5kmのラップで1分程度のロス。総括すると、「スピード持久力」(一定のスピードを保ったまま長い距離を走る)に課題が残る展開でした。
 
 翌年に向けての処方箋としては、下記が考えられます。

①フィジカルを鍛え直して30㎞すぎに失速しないような身体を作り直す。夏の間も30㎞走を決行する。(猛暑の中だとつらいですが。)

②フィジカル・トレーニングはそこそこにして、レース展開を変える。前半を抑え、後半にペースアップする余力を残す。スタート直後のオーバーペースをやめる。いま、再読して思ったこと。スタート後に自分の現場感覚に流されてペースをキロ5分35秒まで上げたのはあきらかに失敗です。あくまで事前設定のキロ5分55秒を30㎞までは維持すべきです。そこからさらに12.195㎞あるのですから。

結論は、自分が42.195kmをどのくらいのペースで走り切れるかを知っておく。これに尽きると思います。
(2020年11月1日記す)

 

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